犬の骨肉腫
骨肉腫とは骨に腫瘍ができる病気です。
骨に腫瘍ができた場合、悪性である可能性が85%で死亡率のきわめて高い病気と言われています。
【症状】腫れや痛みが強く、触ると痛がる
骨肉腫を発症すると腫瘍が骨を破壊するために痛みが生じます。
痛みは極めて強く、触ると飛び上がるほど痛いものです。
そのためにクンクンと鳴いたり、怒りやすくなったり運動をしなくなります。
食欲がなくなることで体重が減少します。
腫瘍は太ももの骨やすねの骨にできやすく、外向きに成長していきます。
呼吸不全が出ることもありますが、その時には腫瘍が肺に転移しているケースがほとんどです。
初期の症状は足の捻挫や加齢によるものだと勘違いされやすいので、早期発見することは難しいとされています。
【原因】ほとんどが原因不明
原因ははっきりとわかっていませんが、若いときに骨折することが関係していることがあります。
骨折治療の際に使われた金属プレートの腐食や、そこから金属イオンが溶け出したことなどが原因だと考えられています。
その場合は骨折の6~8年後に骨肉腫が発見されるようです。
遺伝子変異や化学物質の影響や、犬種も関係していると言われています。
10㎏以上の犬種は、小型犬・中型犬の8倍ほど発症することが知られておりゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シェパード、グレートデン、などに多く見られます。
7,8歳頃のオスに多く発症すると言われていますが、2歳頃でも発症することがあります。
【治療】切断や化学療法
骨肉腫は進行が速いため腫瘍を除去し転移を防ぐためにも、骨肉腫を発症した足を段脚する手術をすることが最も多いです。
その後、抗がん剤投与や放射線療法といった化学療法を行います。
早期発見できた場合や、がんが小さい場合は患肢温存手術によって骨肉腫の部分だけ切除し骨の移植手術を行います。
腫瘍が完全に切除できなかったり進行していたり体力がない場合は放射線療法を施します。
骨肉腫による痛みは鎮痛剤が効かないほど強いので、安楽死が選択されることもあります。
【予防】早期発見
若いときから食事管理に気をつけて肥満を防ぎます。
適度な運動で筋肉をつけ負担を減らすようにします。
普段からマッサージしてあげていると、骨の異変に早く気づくことができます。
理由がないのに足をひきずっていたりする骨肉腫の症状が現れているなら、病院に行き触診やレントゲン検査を受けます。
少しでも早く発見できるように、日頃からチェックしてあげることが必要です。
この病気によく見られる症状
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