犬のノミやダニの予防法は?
(1)スポット剤
皮膚につけるタイプのお薬です。舐めてしまわないように、後頭部や首の背中側、肩甲骨の辺りに塗布します。
①駆除薬が皮膚に浸透し血液中に入り全身にいきわたるもの
②皮膚上を伝いながら全身にいきわたり毛根部にある皮脂腺に蓄えられ、皮脂腺の分泌とともに皮膚を覆うもの
など、形状は同じですが効果の出方が異なります。
8時間から24時間で乾きますので、乾いた後は水濡れ・シャンプーで効果が落ちることはありません。
1カ月に1回塗布します。
(2)内服薬
内服するタイプの予防薬で、薬剤が血液中に入り全身にいきわたります。被毛が長く皮膚に薬をつけづらかったり、スポット剤を嫌がる犬、スポット剤でかぶれてしまった場合にも使いやすいお薬ですが、稀に消化器症状が出ることがあります。
(3)首輪・ハーブ系のシール
ノミやダニが嫌がる香りをつけたり、昆虫に効果のある薬を塗布したものなどがあります。シールは洋服に貼ったりして利用しますが残念ながら予防効果は高くありません。
犬のノミやダニの種類について
(1)ノミの種類
ノミは羽をもたない小型の吸血昆虫で、オスメスともに哺乳類や鳥類などの多種の動物に寄生します。世界中に2000以上の種が知られています。
日本では76種類が報告されていて、ネコノミ・イヌノミなどが多いと言われています。
①イヌノミ
イヌノミの分布は日本では減る傾向にあります。体長はオス:1.2~1.8mm、メス:1.6~2.0mm、扁平で肢が6本ある昆虫です。頭部はずんぐりまるい形をしています。
②ネコノミ
ネコノミは犬にも寄生し、犬に寄生するノミはネコノミが大多数を占めると言われています。大きさはイヌノミと変わりませんが、頭のかたちが細く尖っているのが特徴です。
(2)ダニの種類
①マダニ
マダニは肢を8本持ち昆虫ではなくクモやサソリに近い生き物です。大きさは3~20mmで、犬に寄生し吸血しながら大きくなります。マダニには総称で、犬に寄生するマダニにはフタトゲチマダニやヤマトマダニなど約20種類がいます。
マダニは吸血し、メスの成ダニは草むらで約2000個の卵を産卵します。散歩中に草むらに潜んでいるダニが犬に飛びつき寄生しますので草むらには注意してください。
犬のノミやダニの駆除方は?
①スプレー、内服薬、首輪などを利用し駆虫できます。
大量寄生している場合はスプレーを使用すると速効で駆除できます。気にしてなめないように気をつけてください。24時間で100%駆除し、生後2日目から使用できます。
②スポット剤
スポット剤は持続性が1カ月ありますが、速効性ではスプレーに劣ります。ノミで24時間・ダニで48時間後にはほぼ100%駆虫できます。
③内服薬
内服薬はスポット剤よりも早く効果が出て、効果は1カ月です。ノミで6時間、ダニで24時間後にほぼ100%駆虫できます。
④首輪
首輪は駆虫効果が一番低く、首輪周りにはいなくなりますが首輪から遠い場所では駆虫できません。
⑤シャンプー
ノミとりシャンプーは駆虫成分が含まれていますが、濃度が低いため期待するほどノミは駆除できません。
⑥ダニは口からのける
ダニを引っ張ってとると胴体だけとれて、皮膚の中に口が残りしこりのようになります。ダニの駆除はダニの頭部と口をピンセットで挟み除去します。
犬のノミ・マダニの駆除剤を選ぶコツ
犬のノミ・マダニの駆除剤には様々な種類があり、作用時間や速効性などで違いはありますが「駆除できる」点では変わりはありません。ライフスタイルや犬の性格、皮膚の状態などで上手に使い分けしてください。
途中で使用するお薬が変わっても、問題はありません。ただし、内服薬タイプにするときには嘔吐や下痢にお気をつけください。
(1)スポット剤
内服薬を飲むのが苦手、内服薬タイプの駆除剤を飲んで嘔吐・下痢を起こしたことのある犬はスポット剤をお勧めします。また、スポット剤には基材としてアルコールが入っているものがありますので、塗布後の違和感の強い犬の場合はアルコールフリーのスポット剤を利用してください。
(2)内服薬
ごそごそ動く、警戒心が強くスポット剤をつけにくい様な犬の場合は内服薬が向いています。ジャーキーのようなおやつタイプのものもありますのでドッグフードに砕いて入れることもできます。皮膚が弱くスポット剤を塗布した後が赤くなる、脱毛が起きるなど皮膚がデリケートな場合も内服薬をお勧めします。
(3)首輪
首輪は首周囲のノミが一時的に逃げますがダニに対する効果はうすいです。また、効果が長続きせず、下半身に寄生するノミに対する効果は期待できません。
犬にノミやダニがつくとどんな症状?
ノミがついた場合
①皮膚炎
ノミにさされる刺激や、吸血する時に血液が固まらないように自分の唾液を犬の体内に入れ込みますので、ノミの唾液に対する反応で皮膚炎が起きます。痒みがひどく、背中や腰に粟粒大の大きなかさぶたがたくさんできるのが特徴です。
②ノミアレルギー
ノミの唾液に対するアレルギー反応です。ノミに吸血された際に体内に入った唾液は異物と認識され抗体ができ、またノミに刺された時に強烈な痒みが出ます。この状態をノミアレルギーといいます。痒みが激しく体をかんだり、掻きむしったりします。
③貧血
ノミが多数寄生すると貧血症状を起こすことがあります。成犬では少ないのですが、幼犬で稀に起こります。
ダニがついた場合
①ダニが寄生しても犬は気付かないことが多い
ダニが寄生しても犬自体は気付かないことの方が多いです。寄生する時に口を犬の皮膚に差し込みますが、この時に麻酔様物質を口から出し痛みを感じさせないようにしますので犬は気付きません。
②バベシア症
ダニの中にはバベシア原虫という別の寄生虫をもっている場合があります。バベシアは犬の体内に侵入し赤血球に寄生します。赤血球の中でバベシア原虫が分裂成長し、赤血球を破って血液中に流れ出し、また別の赤血球に寄生するため犬は極度の貧血を起こします。発熱、黄疸、目の炎症、肝臓の炎症を起こし最悪亡くなることもあります。