犬の肺水腫
肺の中に大量の液体がたまり、ガスの交換が妨げられている状態を肺水腫といいます。
肺は血液に酸素を送り二酸化炭素を取り出すための器官ですので、この器官が阻害されると大変な事になりますので緊急性の高い病気の一つです。
【症状】呼吸困難や呼吸音異常が見られる
肺水腫の症状は、呼吸困難・開口呼吸（口を開けて呼吸をすること）・ゼーゼーという呼吸音・不安そうな様子などがみられます。
肺水腫の初期では水のような泡状の鼻水が出て、末期には血の混じった泡状の鼻水が出ます。
チアノーゼや眼球突出（眼が飛び出した状態のこと）、頚静脈が太くなり浮き出るようになります。
夜には、咳やゼーゼーという呼吸音が聞こえるようになります。
横たわる姿勢を嫌い、胸を広げるために前足をがに股のような状態にし、座ったままの状態でいることが多くなります。
【原因】心臓性と非心臓性に分けられる
肺水腫の原因は、心臓性（心臓に原因があるもの）と非心臓性にわけられます。
心臓性では、肺静脈内の血圧が上昇することによって肺の血流量が増加し気道や肺の間質に水分が漏れ出すことで起こります。
非心臓性では、肺に炎症が起こることで肺の毛細血管の透過性が高くなり血管内から気道や肺の間質へ水分が漏れ出すことで起こります。
また、多量の補液（リンゲルなどの投薬など）を急速に行うことで肺水腫が起こる場合もあります。
肺水腫は、ほとんどの場合他の病気も併発しており、肺水腫が単独で見られることはありません。
熱中症や僧帽弁閉鎖不全症などにより発症する場合もあります。
【治療】利尿剤の投与や運動制限・食事療法を行う
肺にたまった水を除去するために利尿剤を投与したり、酸素を吸入させたりします。
また心臓の機能を高める薬や気管支を拡張する薬を使用する場合もあります。
安静を保ち、運動制限、食事療法（塩分を控え、ナトリウムを制限）を行います。
肺水腫のほとんどが他の病気と併発して起こります。
そのため肺水腫の原因ともなった基礎疾患の治療も行います。
【予防】他の病気による併発を防ぐためにも早期発見・早期治療
肺水腫の具体的な予防法はなく、他の病気による併発を防ぐためにも他の病気自体を予防することになります。
肺水腫は緊急性の高い病気ですので、早期発見により重症になる前に治療を開始する必要があります。
この病気によく見られる症状
似たような症状が出る他の病気
犬の熱中症（熱射病、日射病）
【症状】体温の上昇、パンティングが起こる 熱中症の症状には、息が荒くなる、ぐったりする、尿・便の失禁がみられます。 体温が41…
犬伝染性肝炎
犬伝染性肝炎とは、犬アデノウイルス１型によって引き起こされるウイルス性の感染症です。 軽度のものであれば症状がなかったり、症状…
犬の胃拡張・胃捻転症候群
【症状】えずいたり腹部が膨れだしたらすぐに動物病院へ 一刻を争う病気です 胃捻転・胃拡張症候群はGDVとも呼ばれる急性の病気で…
犬のクリプトコッカス症
【症状】肉芽腫が鼻の穴にできて塞いでしまう クリプトコッカス症の症状としてはくしゃみや鼻水といった鼻炎の症状で、鼻水はドロッと…
犬の心室中隔欠損症
心室中隔欠損症は先天性心奇形の中で最も頻度の高いものと言われています。 心室中隔欠損症が肺の病気や発達障害を引き起こす危険もあ…
ケンネルコフ（伝染性気管支炎）
【症状】咳が多い程度だけど、他の感染症と一緒だと重症化することもあります 急に発熱や咳が出て長く続き人間の風邪とよく似た症状で…
犬の免疫介在性溶血性貧血（IMHA）
広義的には、薬剤誘発性溶血性貧血と同種免疫性溶血性貧血も含みますが、一般的には、自己免疫性溶血性貧血と呼ばれていた病気を指しま…
犬の鼻炎
鼻炎は、鼻腔内に発生した炎症のことで、その原因は様々です。 基本的な症状は、くしゃみや鼻水で、鼻と眼をつなぐ鼻涙管をつまらせる…
犬の気管虚脱
気管とは、のどと肺を結ぶ器官で、呼吸しやすいように筒状の形をしています。 気管虚脱になると気管が押しつぶされ空気の通り道が狭く…
犬の心房中隔欠損症
心房中隔欠損症とは、心臓の左心房と右心房の間にある中隔という壁に生まれつき卵円孔という穴が開いている病気です。 【症状】卵円孔…
犬のフィラリア症（犬糸状虫症）
【症状】感染から発症までは長いが急性の場合はただちに動物病院へ フィラリアという寄生虫の感染によって起こる病気ですが、感染初期…
犬の副鼻腔炎
鼻腔周辺の骨に囲まれた空洞部を副鼻腔といいます。 鼻炎と同じような症状を示しますが、鼻炎より治療が困難で、完治が難しい疾患です…
犬の僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症（そうぼうべんへいさふぜん）とは、心臓の弁が変形したり弁を動かしている腱が弱ったりして弁がうまく閉まらなくなっ…
犬の拡張型心筋症
犬がかかる拡張型心筋症とは、心臓の筋肉である心筋に何らかの異常が起こり、心臓の働きが弱くなってしまう病気です。 心臓が肥大した…
犬ジステンパーウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス感染症とは犬ジステンパーに感染することにより発症する、死亡率と伝染性の高い病気です。 感染すると1週間ほ…
犬の悪性リンパ腫（リンパ肉腫）
【症状】下アゴの腫れに気付いて獣医師の元へ駆け込むことが多いです 悪性リンパ腫は体のどのリンパが腫瘍化するかによって症状が違い…
犬のトキソプラズマ症
【症状】無症状の場合が多いが妊娠していると流産の危険性も 一般的には感染しても無症状のままが多いのですが、発熱や筋肉痛と言った…
犬の肝臓がん
犬の肝臓がんは、かなり頻繁に起こる病気ですが発見した時には手遅れで、命を奪ってしまうケースが多い恐ろしい病気です。 【症状】初…
犬の肺動脈狭窄症
肺動脈狭窄症は、犬における先天性心臓病の発症件数調査で、国内外問わず上位5位に入るほど発生頻度の高い病気です。 プードル、コリ…
