犬のてんかん
【症状】全身、身体の一部に痙攣や発作をおこす
てんかんとは脳の神経系統が何らかの原因で興奮状態となり、体の制御ができなくなる病気です。
検査をしても脳に特に異常が認められず原因不明とされる「特発性てんかん」
脳に外傷や脳腫瘍、水頭症など脳に異常が認められ発作を起こす「症候性てんかん」に分けられます。
また脳全体が異常をきたし興奮状態となることで、前後の足をピンと伸ばして全身が硬直した状態となって横に倒れたりひっくり返ったりする。
口をガタガタと震わせたり泡を吹いたり、また足も小刻みに震わせたりする。
意識をなくしたり、失禁や脱糞したり、倒れたまま犬かきをするように足を動かし続けたりする。
このような全身に異常が見られる発作を「全般性発作」と言います。
また脳の一部が異常をきたして興奮状態となり、その興奮状態となっている部分の脳が担う箇所だけに異常が見られる状態を「部分発作」または「焦点性発作」といいます。
この場合は意識があることが多く、足だけとか顔面だけというような一部分だけに発作が起こる状態です。
【原因】原因不明だが遺伝的要素が大半です
犬のてんかんは検査をしても脳に特に異常が認められず原因不明とされる「特発性てんかん」がほとんどで、遺伝的要素が関係していると言われています。
また「特発性てんかん」を起こしやすい犬種として
- アイリッシュセッター
- コッカースパニエル
- コリー
- ゴールデンレトリバー
- シェットランドシープドッグ
- ジャーマンシェパード
- シベリアンハスキー
- セントバーナード
- ダックスフント
- ビーグル
- プードル
- ボクサー
- ミニチュアシュナウザー
- ラブラドールレトリバー
- ワイヤーフォックステリア
などが挙げられています。
また脳に外傷や脳腫瘍、水頭症、脳炎など障害や異常が認められ起こる「症候性てんかん」もあります。
【治療】お薬で症状を抑えます
このてんかんという病気は治りません。
部分発作で症状が軽い場合には経過観察となる場合もありますが、一般的に抗てんかん薬で発作を抑えたり軽くする治療を行います。
投薬は毎日家で行うことが主ですが、重篤な場合には入院して点滴にて投薬する場合もあります。
症候性てんかんの場合は、原因となっている脳の病気の治療を行います。
原因を取り除くことができればてんかんは起こらないためです。
【予防】予防は難しいが日頃からの観察が大事です
犬のてんかんを予防する方法はありません。
症候性てんかんならば、その原因を取り除くことができれば最も効果的な予防法となります。
特発性てんかんの場合は遺伝的要因が大きいとされるので、飼い主は日頃から愛犬の様子をきちんと観察することに尽きます。
またてんかん発作が起きた時は、獣医師に症状と発作が続いた時間などを正しく伝えることが治療の上で重要となります。
多くのてんかん発作は1分程度、長くても3分ほどで痙攣も治まりますから慌てず、そして怖らずに観察してください。
また発作の最中に口にタオルなどを噛ますことはやめてください、かなり危険です。
この病気によく見られる症状
似たような症状が出る他の病気
犬のクリプトコッカス症
【症状】肉芽腫が鼻の穴にできて塞いでしまう クリプトコッカス症の症状としてはくしゃみや鼻水といった鼻炎の症状で、鼻水はドロッと…
犬ジステンパーウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス感染症とは犬ジステンパーに感染することにより発症する、死亡率と伝染性の高い病気です。 感染すると1週間ほ…
犬の水頭症
水頭症とは頭蓋骨が大きく骨が薄い犬種、短頭種、小型犬に多く発症する脳の病気です。 チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスフン…
犬の熱中症(熱射病、日射病)
【症状】体温の上昇、パンティングが起こる 熱中症の症状には、息が荒くなる、ぐったりする、尿・便の失禁がみられます。 体温が41…
犬の胃拡張・胃捻転症候群
【症状】えずいたり腹部が膨れだしたらすぐに動物病院へ 一刻を争う病気です 胃捻転・胃拡張症候群はGDVとも呼ばれる急性の病気で…
犬の拡張型心筋症
犬がかかる拡張型心筋症とは、心臓の筋肉である心筋に何らかの異常が起こり、心臓の働きが弱くなってしまう病気です。 心臓が肥大した…
犬の膀胱結石
膀胱結石とは、尿を一時的に溜めておく膀胱に結石と呼ばれる石が詰まることで尿が出にくくなったり激しい痛みが生じる病気です。 膀胱…
犬の門脈シャント
【症状】肝性脳症によるよだれやふらつき 通常は、消化管内で産生されたアンモニアなどの毒素は腸管から吸収されると、門脈と呼ばれる…
犬の臍ヘルニア(さいヘルニア)
臍ヘルニアとは、いわゆる出べそのことです。 へその部分からお腹の脂肪や内臓の一部が飛び出てきているものを臍ヘルニアと呼びます。…
犬の狂犬病
狂犬病はほぼすべての哺乳類が感染し得る病気で、発症するとほぼ100%死に至ります。 【症状】行動面や性格が変化する 狂犬病に感…
犬の脳腫瘍
脳腫瘍は、脳から発生した原発性脳腫瘍か、がん細胞が脳に転移して発生する転移性脳腫瘍にわけられます。 7歳以上に発生することが多…
犬のトキソプラズマ症
【症状】無症状の場合が多いが妊娠していると流産の危険性も 一般的には感染しても無症状のままが多いのですが、発熱や筋肉痛と言った…
犬の心房中隔欠損症
心房中隔欠損症とは、心臓の左心房と右心房の間にある中隔という壁に生まれつき卵円孔という穴が開いている病気です。 【症状】卵円孔…
犬の口内炎
口内炎とは口の中にある粘膜で炎症が起きている状態を指します。 人間の口内炎とは大きさが異なります。 【症状】食欲不振や口臭 口…
犬のフィラリア症(犬糸状虫症)
【症状】感染から発症までは長いが急性の場合はただちに動物病院へ フィラリアという寄生虫の感染によって起こる病気ですが、感染初期…
犬の認知症(痴呆/認知機能障害/認知障害症候群)
人間と同じように犬でも認知症が問題になってきています。 高齢化に伴って生じる脳の変化が原因で説明のつかない異常な行動を起こすこ…
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)
口腔内悪性黒色腫とは、口の中にできる皮膚がんの一種です。 メラノーマとは、メラニン色素を作る細胞メラノサイトががんになり、口腔…