犬の僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜん)とは、心臓の弁が変形したり弁を動かしている腱が弱ったりして弁がうまく閉まらなくなった状態のことです。
そうなると左心室が収縮して全身に血液を送り出すはずの血液が左心室の方へ血液が流れてしまうなど、本来の血液の流れが一方向ではなくなってしまいます。
【症状】初期は症状があまりなく、重くなると疲れやすくなったり咳が出るようになる
全身へ送り出す血液が減ったとしても初めは少量なので、大きな障害がでることはありません。
徐々に進行し逆流する量が増えると様々な症状が現れます。
疲れやすくなり運動をすると息苦しくなったり座り込んでしまうことが多くなります。
血液がうまく循環していないので、脳貧血が起こったり舌の色が紫色に変化します。
体に負担がかかり心臓が大きくなると気管に触れるようになり、寝ているときや激しい運動をしたときなどに響くような咳が出るようになります。
肺に水が溜まってくると、湿った咳が出るようになり呼吸がとても苦しくなるため運動をしなくなったり意識が鈍くなったりします。
末期には激しい咳が見られたり、酸欠で倒れたり昏睡状態になることもあります。
【原因】遺伝によるものや加齢によるもの
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ボストンテリア、チャウチャウ、チワワ、ポメラニアン、トイプードル、マルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズーは発症率が高いため、遺伝が関係していると考えられています。
特にキャバリア・キング・チャールズ―スパニエルは1歳の時にはすでに30%以上がこの病気を持っていることが観察されています。
また、加齢により僧帽弁が変形したり弁を支える腱が変性することも影響しています。
【治療】完治はできず、症状を和らげる内科的治療を行う
聴診で僧帽弁付近の雑音や逆流を調べます。
超音波検査やレントゲン検査を行い心臓の動きや形や大きさを確認します。
僧帽弁閉鎖不全症を完治することはできないため内科的治療で症状を和らげ病態の進行を抑えます。
血管拡張剤を投与したり、運動を制限し食事療法や体重管理を行います。
肺に水が溜まっている場合はその治療も行います。
【予防】早期発見と早期治療のために定期検診を受ける
塩分の摂りすぎは高血圧のリスクを高め、高血圧になると心臓に負担をかけます。
普段から塩分を摂りすぎないように食事をしっかり管理しましょう。
また早期発見と早期治療が大切なので、定期検診を受けることも必要です。
この病気によく見られる症状
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