犬のクリプトコッカス症
【症状】肉芽腫が鼻の穴にできて塞いでしまう
クリプトコッカス症の症状としてはくしゃみや鼻水といった鼻炎の症状で、鼻水はドロッとした感じの鼻汁が出ます。
また鼻に潰瘍状の肉芽腫ができ腫れ上がることで、鼻の穴を塞ぐ感じとなります。
酷い場合は肺炎を起こすこともあります。
目の周りにも同様の肉芽腫ができる場合があり、網膜炎を発症し失明に至ることも。
中枢神経に感染すると痙攣やマヒ、運動障害といった症状も見られます。
【原因】身近に存在するカビの一種で鳩が原因となる
クリプトコッカスはカビの一種でごく普通に存在するものです。
健康な犬がこのクリプトコッカスを吸い込んでも発症しないことの方が多いです。
他の感染症に感染している時など、免疫力が低下している場合などに感染することがほとんどです。
クリプトコッカスは鳩の糞に含まれていることが多く、また鳩はこの病気に感染することなく広範囲にクリプトコッカスを広げる役割を果たしています。
呼吸時に吸い込んで感染するケースが多く、気道や肺が主な感染部位ですが、皮膚や目、神経など体のあちこちに感染します。
【治療】長期間の抗真菌剤の治療が必要です
基本的には抗真菌剤による治療が主となります。
このクリプトコッカス症の完治には1年近くの長期間となることが多く、中枢神経に感染している場合には生きている間ずっと治療することになります。
また対症的に鼻炎や皮膚炎や目などへの治療も併用する必要があります。
【予防】身近に鳩の糞があれば処理しましょう
身近な所では鳩の糞に多く含まれていることから、たくさん鳩がいる場所へ近付けないことは重要です。
またベランダや庭などに鳩の糞がある場合には、放置せずに処理することも大事です。
愛犬の体調管理に注意し、日頃から栄養価の高いエサを与えるようにするなど、クリプトコッカス症にかかりやすくなるような体力の低下や免疫力が低下しないように留意することが最も大切です。
【犬種】クリプトコッカス症にかかりやすい犬種がいます
- アメリカンコッカースパニエル
- グレートデン
- ドーベルマン
- ラブラドールレトリバー
などがやや発症率が高く注意が必要とされています。
【注意】人間が感染すると髄膜炎や脳炎も
人間にもクリプトコッカス症は感染します。
症状は犬と同様にドロッとした鼻汁、くしゃみ、鼻の穴の中に肉芽腫ができ、感染範囲の広がりから髄膜炎や脳炎を引き起こします。
幼児や老人、体力が低下している人は、クリプトコッカス症に感染している犬には近寄らないことが大事です。
この病気によく見られる症状
似たような症状が出る他の病気
犬の内耳炎
内耳炎は、耳の奥にある半規管や蝸牛などの内耳と呼ばれる部分に炎症が起こった状態の事をいいます。 食欲不振やバランス感覚異常の症…
犬のトキソプラズマ症
【症状】無症状の場合が多いが妊娠していると流産の危険性も 一般的には感染しても無症状のままが多いのですが、発熱や筋肉痛と言った…
犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)
口腔内悪性黒色腫とは、口の中にできる皮膚がんの一種です。 メラノーマとは、メラニン色素を作る細胞メラノサイトががんになり、口腔…
犬の歯周病
歯周病は3歳以上の成犬の80%が持っていると言われ、口の中の病気で最も多い病気です。 歯垢に含まれる細菌が歯の表面に付着し、歯…
犬の変形性骨関節症(DJD)
【症状】歩行異様から運動制限など 変形性骨関節症は初期症状として、歩行などの動くことを嫌がる、跛行、着地不能などの歩様異常を示…
犬の認知症(痴呆/認知機能障害/認知障害症候群)
人間と同じように犬でも認知症が問題になってきています。 高齢化に伴って生じる脳の変化が原因で説明のつかない異常な行動を起こすこ…
犬の門脈シャント
【症状】肝性脳症によるよだれやふらつき 通常は、消化管内で産生されたアンモニアなどの毒素は腸管から吸収されると、門脈と呼ばれる…
犬の肥満細胞腫
犬や猫に多発する腫瘍の一つで特に犬に多く発生します。 あらゆる場所に発生しますが、そのほとんどが皮膚に発生します。 犬の皮膚腫…
犬の気管虚脱
気管とは、のどと肺を結ぶ器官で、呼吸しやすいように筒状の形をしています。 気管虚脱になると気管が押しつぶされ空気の通り道が狭く…
犬の椎間板ヘルニア
【症状】激しい痛みにより、動かずじっとしています 椎間板とは頚椎から尾椎の椎骨と椎骨のあいだに存在し、椎骨を連結する役割を果た…
犬の副鼻腔炎
鼻腔周辺の骨に囲まれた空洞部を副鼻腔といいます。 鼻炎と同じような症状を示しますが、鼻炎より治療が困難で、完治が難しい疾患です…
犬の骨折
骨折とは骨が損傷を受けた状態を指します。 小型犬や子犬は骨が細く、骨折する危険が高いので注意が必要です。 【症状】主に腫れや痛…
犬の脂肪腫
脂肪腫とは、脂肪組織が皮膚や筋肉の下または隙間に蓄積されることによって発症する良性腫瘍です。 胸部、腹部、脇の下、内股にできや…
犬の悪性リンパ腫(リンパ肉腫)
【症状】下アゴの腫れに気付いて獣医師の元へ駆け込むことが多いです 悪性リンパ腫は体のどのリンパが腫瘍化するかによって症状が違い…
犬の乳腺腫瘍
乳腺腫瘍は犬や猫では比較的多く見られる腫瘍です。 10歳齢以上から発生率が高くなります。 乳腺腫瘍は必ずしもがんであるとは限り…
犬の白内障
【症状】瞳の白濁による視力障害 白内障の症状には、肉眼的変化(眼が白くなる、つねに瞳が広がっている)や、視覚障害(暗いところで…
犬伝染性肝炎
犬伝染性肝炎とは、犬アデノウイルス1型によって引き起こされるウイルス性の感染症です。 軽度のものであれば症状がなかったり、症状…
犬の股関節形成不全(股関節形成異常)
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤とを結合する股関節がうまく作られず形が異常になってしまう、発育や成長の異常です。 この病気…
犬の熱中症(熱射病、日射病)
【症状】体温の上昇、パンティングが起こる 熱中症の症状には、息が荒くなる、ぐったりする、尿・便の失禁がみられます。 体温が41…
犬の虫歯
犬の病気の中でも多いのが歯の病気です。 その中でも虫歯は他の様々な病気を併発しやすくなるので注意が必要になります。 歯石や歯垢…
犬の水頭症
水頭症とは頭蓋骨が大きく骨が薄い犬種、短頭種、小型犬に多く発症する脳の病気です。 チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスフン…
犬の胃拡張・胃捻転症候群
【症状】えずいたり腹部が膨れだしたらすぐに動物病院へ 一刻を争う病気です 胃捻転・胃拡張症候群はGDVとも呼ばれる急性の病気で…
犬の脳腫瘍
脳腫瘍は、脳から発生した原発性脳腫瘍か、がん細胞が脳に転移して発生する転移性脳腫瘍にわけられます。 7歳以上に発生することが多…
犬の拡張型心筋症
犬がかかる拡張型心筋症とは、心臓の筋肉である心筋に何らかの異常が起こり、心臓の働きが弱くなってしまう病気です。 心臓が肥大した…
犬のフィラリア症(犬糸状虫症)
【症状】感染から発症までは長いが急性の場合はただちに動物病院へ フィラリアという寄生虫の感染によって起こる病気ですが、感染初期…
犬の心室中隔欠損症
心室中隔欠損症は先天性心奇形の中で最も頻度の高いものと言われています。 心室中隔欠損症が肺の病気や発達障害を引き起こす危険もあ…
犬ジステンパーウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス感染症とは犬ジステンパーに感染することにより発症する、死亡率と伝染性の高い病気です。 感染すると1週間ほ…
犬の肺水腫
肺の中に大量の液体がたまり、ガスの交換が妨げられている状態を肺水腫といいます。 肺は血液に酸素を送り二酸化炭素を取り出すための…
犬の僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜん)とは、心臓の弁が変形したり弁を動かしている腱が弱ったりして弁がうまく閉まらなくなっ…
犬の口内炎
口内炎とは口の中にある粘膜で炎症が起きている状態を指します。 人間の口内炎とは大きさが異なります。 【症状】食欲不振や口臭 口…
犬の肺動脈狭窄症
肺動脈狭窄症は、犬における先天性心臓病の発症件数調査で、国内外問わず上位5位に入るほど発生頻度の高い病気です。 プードル、コリ…
犬の鼻炎
鼻炎は、鼻腔内に発生した炎症のことで、その原因は様々です。 基本的な症状は、くしゃみや鼻水で、鼻と眼をつなぐ鼻涙管をつまらせる…
犬のてんかん
【症状】全身、身体の一部に痙攣や発作をおこす てんかんとは脳の神経系統が何らかの原因で興奮状態となり、体の制御ができなくなる病…
犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
広義的には、薬剤誘発性溶血性貧血と同種免疫性溶血性貧血も含みますが、一般的には、自己免疫性溶血性貧血と呼ばれていた病気を指しま…