犬のブルセラ症
【症状】オス・メスともに繁殖障害を起こします
オスメスともに繁殖障害を起こすことがあります。
オスの場合は睾丸が腫れ上がるなどする精巣炎、陰嚢の皮膚炎などを起こします。
これにより正常な精子が作られなくなったり無精子症になります。
メスの場合は流産や死産が見られ、一度ブルセラ症にかかったメスは流産や死産を繰り返すことが多いです。
【原因】ブルセラ菌の感染によるものですが、多頭飼育が原因となることが多いです
ブルセラ菌という細菌に感染することで起こります。
このブルセラ菌はリンパ管やメス犬の胎盤、オスの生殖組織を好んで感染します。
ブルセラ菌が感染するルートとしては、感染しているメス犬が流産時に排出する胎子や分泌物、感染しているメス犬の尿や子宮分泌物に直接触れるなどして経口感染する場合。
また感染した犬との交尾によって生殖器の粘膜から細菌に直接感染する場合があります。
過去には家畜にもブルセラ症は見られましたが、1970年代にほぼ撲滅されています。
犬に関するブルセラ症は今でも発生することがあります。
これは海外から輸入される動物への検疫が完全ではなかったために、ブルセラ菌に感染した犬が国内で流通し細菌が定着したためと考えられています。
また日本での発症事例のほとんどはペットショップや繁殖施設、犬のレンタル店であり、たくさんの犬を一か所にかためて暮らしている状況下で蔓延したためだと思われます。
【治療】抗生剤を投与するけど再発することも 避妊や去勢が望まれます
テトラサイクリンやミノマイシンといった抗生剤1か月ほど投与します。
しかし完治せずに再発することも多々あります。
なので被害の拡大を防ぐ目的から避妊や去勢の手術をすることが望まれます。
【予防】常に清潔な環境を 多頭飼育では特に注意が必要です
ブルセラ症に関するワクチンはありません。
たくさんの犬を飼育する状況下においては、まず常に清潔な状態になるよう心がけます。
流産した犬がいる場合には隔離するとともに、流産した胎子や分泌物を他の犬が触れないように速やかに処理することが大事です。
【注意】ブルセラ症は人間への影響もあります
ブルセラ症は人間にも感染します。
ブルセラ菌が体内に入って2~4週間で発病します。
発熱、関節痛、倦怠感、食欲の低下などが見られます。
また治療せず放置した場合には発熱を繰り返すことが特徴です。
人から人への感染はありません。
犬が流産した時などその扱いに注意し、素手では絶対に取り扱わないことが必須です。
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