犬の狂犬病
狂犬病はほぼすべての哺乳類が感染し得る病気で、発症するとほぼ100%死に至ります。
【症状】行動面や性格が変化する
狂犬病に感染すると1~2か月後に発症します。
そのため症状が出ていない潜伏期間に気づくことは不可能です。
この病気は三つの段階に分けられています。
前駆期と呼ばれる時期には熱が出たり、元気がなくなったり食欲がなくなったりします。
咳が出ることもあり、風邪の症状に似ています。
その後の狂騒期には過剰な興奮状態になり歩き回ったり、非常に攻撃的になり目の前にあるすべての物に噛みついたり飛びかかったりするようになります。
顔もキツネのように凶暴に変化します。
眠れなくなったり、異物を食べるようになってしまうこともあります。
水を恐れる恐水症も見られます。
感覚神経に障害が出るため、光の反射や風の動きに敏感になり暗い場所に隠れることもあります。
また、脳神経細胞の障害により性格が変わり、これまでおとなしかった犬が近寄らなくなったり、攻撃的だった犬が従順になったりします。
麻痺期には、全身が麻痺状態になります。
咀嚼筋が麻痺することにより大量のよだれを流したり、足腰がたたなくなり歩行ができなくなります。
けいれんしたり、意識が失われ昏睡状態になります。
【原因】狂犬病ウイルスに感染する
狂犬病ウイルスに感染することで発症します。
狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれたり、ひっかかれたりすることで傷口から大量に狂犬病ウイルスが侵入し感染します。
また、目や口、気道などの粘膜から感染することもあります。
皮膚の表面に傷がある場合もその傷がウイルスの含まれている唾液に触れてしまうと感染してしまいます。
【治療】発症してしまうと有効な治療はない
狂犬病を発症すると100%死に至り治療法はないとされています。
そのため、狂犬病ワクチンを接種することが最も有効な予防となり治療法になります。
狂犬病に感染した動物やその疑いのある動物に噛まれた場合、速やかに病院へ行き、狂犬病ワクチンを再接種したり、抗狂犬病ガンマグロブリンを接種することもあります。
狂犬病の狂騒期は、攻撃性が増すため咬傷の事故が多くなります。
すると狂犬病に感染するケースが増えてしまい大変危険なので、発症した動物は安楽死が選択されます。
【予防】狂犬病ワクチンの接種を
有効な予防法はワクチン接種以外ありません。
日本では狂犬病予防法が制定されているため、年に一回はワクチン接種することが義務付けられています。
ロシアや中国、東南アジアではいまだに狂犬病が多く発生しています。
日本では1957年以降、狂犬病は発生していませんが、その状態がずっと続くようにワクチン接種は欠かさないようにしましょう。
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