犬の乳腺腫瘍
乳腺腫瘍は犬や猫では比較的多く見られる腫瘍です。
10歳齢以上から発生率が高くなります。
乳腺腫瘍は必ずしもがんであるとは限りません。
【症状】乳腺にできるコリコリとしたしこり
乳腺部にコリコリとしたしこりができるので、飼い主にも発見しやすい病気です。
良性の腫瘍の場合発育速度はそれほど早くありませんが、悪性の腫瘍(乳がん)の場合短期間で急速に大きくなります。
良性は増殖性が弱く1箇所だけに現れほとんど生体に悪さをしません。
悪性の場合は、浸潤性で根を張ったように増えていくのが特徴で、生体に極めて悪影響を示します。
悪性のものが一般的にガンと呼ばれます。
悪性の場合、肺やリンパ管に転移する可能性があり、末期には削痩して悪液質(病気になり栄養状態が悪くなる)に陥り死に至ります。
【原因】卵巣ホルモンと密接な関係がある
乳腺腫瘍はホルモン依存性腫瘍で、卵巣ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の分泌が関係します。
犬では良性か悪性かは半々の確率です。
細胞診(腫瘍部分の一部の細胞を注射用の針で採取し顕微鏡にて観察する)にて判定します。
この場合は、悪性の強さまではわからず、最終的な判断は切除した乳腺腫瘍を病理組織診断することにより判定します。
【治療】外科手術により腫瘍を除去
乳腺腫瘍の治療は、転移がない場合には外科治療が基本となります。
人に比べ乳腺が多いため腫瘍の広がり方が多様にあります。
そのため、腫瘤を必要最小限の周辺組織とともに切除する方法、複数の乳腺を一括して切除する方法、片側全ての乳腺を切除する方法などが挙げられます。
肺への転移も考えられるため、レントゲン撮影により確認します。
【予防】避妊手術により発生率が下がる
一般的に最初の発情期前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率が0.5%なのに対し、初回の発情期後に避妊手術を行うと8%まで上昇します。
その後2回目以降に避妊手術を行った場合は26%と上昇していくため、乳腺腫瘍の予防に関しては若齢時での避妊手術が一番です。
また、メスの病気と思われがちですが、乳腺があるためオスにも発生する可能性はあります。
この病気によく見られる症状
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