犬のマンソン裂頭条虫症
【症状】症状が出ることは少ないけど、下痢と便のニオイが強くなります
マンソン裂頭条虫症に感染してもあまり症状が出ません。
症状が出ても便が少しゆるくなる程度の下痢、便のニオイが通常時より強くなると言ったものです。
また食べても太りにくくなると言ったことも聞かれます。
ただし寄生された数が多い場合には下痢が続いたり痩せるといったものほか、腸閉塞を起こすこともあります。
【原因】カエルやヘビに寄生するマンソン裂頭条虫に寄生され感染します
マンソン裂頭条虫という寄生虫が寄生することで発症します。
マンソン裂頭条虫はサナダムシ(条虫)の仲間です。
田んぼなど水中でマンソン裂頭条虫の虫卵がコラシジウムという幼虫となって、ケンミジンコに食べられ体内でプロセルコイドと呼ばれる幼虫になります。
そのケンミジンコをカエルやヘビが食べ、一緒に体内へ入ったマンソン裂頭条虫の幼虫はプレロセルコイドという幼虫になります。
感染したカエルやヘビを犬が食べることで、一緒に体内へ入ったマンソン裂頭条虫の幼虫は成虫となり腸管に寄生します。
寄生したマンソン裂頭条虫は1年半ほど生き続け、大きくなると1mを越す長さとなります。
マンソン裂頭条虫は腸管に寄生しますが、腸管から吸い取る栄養がごく少量のために症状が出にくいと言われています。
【治療】駆虫薬を複数回投与して除去します
マンソン裂頭条虫の駆虫にはプラジクアンテルを投与します。
一度の投与では完全に駆虫は難しいので、、完治まで複数回の投与が必要です。
マンソン裂頭条虫の駆虫には瓜実条虫と違って1回あたりに約6倍のプラジクアンテルを投与する必要があり、やや高価な治療となります。
【予防】あぜ道などでカエルやヘビを食べないように飼い主が注意してあげて
最も有効な予防法はカエルやヘビを食べさせないようにすることです。
あぜ道などを散歩させる機会が多い場合、口に含まないように注意する必要がります。
また定期的な便検査で早期発見に努めてください。
【注意】マンソン裂頭条虫症は人間も要注意
人間に寄生することがあります。
犬の体内では成虫となりますが、人間の体内では幼虫のまま過ごすことが多く稀に成虫になる場合があります。
幼虫のまま寄生するのでマンソン孤虫症と呼び分けられています。
寄生する場所は脂肪の多い皮下が最も多く、胸部、腹部、大腿部が多いです。
感染後1週間ほどで倦怠感や発熱を生じ、マンソン裂頭条虫がいる部位はしこりのように膨らみます。
脳に寄生した場合には言語障害や痙攣と言った脳腫瘍に似た症状を起こし、命の危機にさらされる場合もあります。
成虫にまで育っている場合には駆虫薬で治療しますが、ほとんどの場合は幼虫のままですので外科手術により摘出することになります。
ヘビやカエルを火を通さなかったり十分でない場合には感染の危険性が非常に高くなります。
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