犬伝染性肝炎
犬伝染性肝炎とは、犬アデノウイルス1型によって引き起こされるウイルス性の感染症です。
軽度のものであれば症状がなかったり、症状が軽く知らない間に治っていることもありますが、1歳以下の犬が発症すると非常に高い確率で死に至ることがあるため注意が必要です。
【症状】一定の症状はなく発熱や腹痛、出血が見られることもあれば症状がないこともある
ウイルスが口腔咽頭部の粘膜からリンパ節に侵入し、さらに血管内に入り全身の臓器へ運ばれます。
特に肝臓に炎症が起こりますが症状の度合いは様々です。
軽度であれば軽い発熱や鼻水で済みますが、症状が重くなると40℃以上の発熱が4日~6日間出て、元気がなくなったり鼻水や嘔吐、下痢、腹痛、扁桃の腫れ、呼吸困難などが起こります。
肝機能に障害が起こると肝臓の機能不全、肝性脳症、低血糖から無気力、昏睡、けいれんなどの神経症状が発症します。
出血が起きやすくなるため皮膚に点状の出血が見られ、鼻血や下血などが見られます。
1歳以下の犬は突然死することもあります。
しかし、何の症状も現れない不顕性型の場合もあります。
回復時には角膜が浮腫を起こし青白く濁って見えるブルーアイになることがあります。
通常であれば、これらの症状が回復していきますが緑内障や角膜潰瘍にまで進行する危険もあるため注意が必要です。
【原因】犬アデノウイルス1型に感染することにより発症する
犬アデノウイルス1型と言われるウイルスに感染することで発症します。
犬アデノウイルスはすでに感染している犬の唾液や尿、涙や鼻水などの排せつ物すべてに含まれており、それらを舐めることによって感染します。
ウイルスが付着した食器を使うことによって感染することもあります。
【治療】肝臓の機能の回復を助ける対症療法が中心となる
犬伝染性肝炎を発症すると有効な治療法がないため根治することは難しく、対症療法により肝臓の機能が回復されるのを待ちます。
ブドウ糖やリンゲル液、アミノ酸などの輸液を行いビタミン剤や強肝薬の投与や点滴をして肝臓の回復を待ちます。
出血や貧血が見られる場合は輸血が必要になることもあります。
犬アデノウイルスに感染すると二次感染を起こしやすいため、抗生物質を使用し予防します。
安静に過ごしながら食事療法なども行いながら細胞が再生されるまで待ちます。
【予防】ワクチン接種により予防できる
定期的なワクチン接種をすることで予防できます。
犬アデノウイルスはとても強力で長期間にわたって生存しているため、散歩中などに他の犬の尿に近づかせないことや落ちているものを口にさせないなど気を配ることも必要です。
この病気によく見られる症状
似たような症状が出る他の病気
犬の悪性リンパ腫(リンパ肉腫)
【症状】下アゴの腫れに気付いて獣医師の元へ駆け込むことが多いです 悪性リンパ腫は体のどのリンパが腫瘍化するかによって症状が違い…
犬の腎不全
腎臓は血液から老廃物を除去したり、尿を形成したり、ホルモンの分泌を行う臓器です。 腎臓が壊れその機能が75%以上失われた状態を…
犬の糞線虫症
高温多湿の環境に置かれた幼犬に多く発症する糞線虫症は、寄生虫の一種ですが、重症になると死に至ります。 だいたい2mm程度の成体…
犬のブルセラ症
【症状】オス・メスともに繁殖障害を起こします オスメスともに繁殖障害を起こすことがあります。 オスの場合は睾丸が腫れ上がるなど…
犬パルボウイルス感染症
パルボウイルス感染症は免疫力の弱い子犬に発症しやすく、感染した場合1~2日で急死することがあります。 犬パルボウイルスは感染率…
犬の糖尿病
【症状】多飲多尿から始まり、体重減少・脱水 糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンに基づく代謝性疾患です。 インスリンは体の…
犬の関節リウマチ(リウマチ様関節炎)
犬の関節リウマチ(リウマチ様関節炎) 関節リウマチは自己免疫疾患によって起こされる関節炎の一つです。 進行すると関節が変形した…
犬ジステンパーウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス感染症とは犬ジステンパーに感染することにより発症する、死亡率と伝染性の高い病気です。 感染すると1週間ほ…
犬の緑内障
【症状】目の痛み、白濁、流血など 緑内障とは、眼圧(眼球内の圧力)が上昇することにより、視神経と網膜に障害が発生し、一時的また…
犬の尿道結石
泌尿器系に結石ができる病気を尿路結石といい、そのうち尿道にできるものを尿道結石といいます。 尿の流出路である尿道が詰まることで…
犬のそけいヘルニア(鼠径ヘルニア)
【症状】足の付け根が膨らんで排尿困難や腸閉塞を起こすことがあります 鼠径とは足の付け根の部分を言い、ヘルニアとは臓器などが正規…
犬の瓜実条虫症(犬条虫症)
【症状】肛門を擦りつけたり舐めたりします 瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)に罹っても成犬の場合は無症状の場合が多いです…
犬の会陰ヘルニア
【症状】お尻の周りが膨らんでいたら要注意 この会陰ヘルニア主な症状としては、肛門周りの会陰部分が膨らむというものです。 肛門嚢…
犬のQ熱
【症状】症状は出ないか出ても軽い発熱 犬の場合はほとんどが無症状で経過するため、感染しても気付かないことが多いです。 症状が出…
犬の胃拡張・胃捻転症候群
【症状】えずいたり腹部が膨れだしたらすぐに動物病院へ 一刻を争う病気です 胃捻転・胃拡張症候群はGDVとも呼ばれる急性の病気で…
犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)
【症状】下痢や嘔吐のほか急性の場合は呼吸困難やショック状態にも この病気は副腎から分泌される副腎皮質ホルモンの量が低下すること…
犬の肛門周囲腺腫
肛門周囲腺腫とは、肛門の周りにある線組織に固い腫瘍ができることを指します。 腫瘍と言っても良性の腫瘍であることが多いです。 去…
犬のレプトスピラ症
【症状】無症状の場合も多いけど吐血や黄疸などの症状と短期間で死亡することも レプトスピラ症にかかった犬の大半は、特に症状が出な…
犬の肝臓がん
犬の肝臓がんは、かなり頻繁に起こる病気ですが発見した時には手遅れで、命を奪ってしまうケースが多い恐ろしい病気です。 【症状】初…
犬の膵炎(すい炎、膵臓炎、すい臓炎)
膵臓とは胃の背中側にある細長くて平ぺったい臓器で、唾液を出したり血糖値を上下させるなどの働きを持つホルモンを分泌する機能を持っ…
犬のクリプトコッカス症
【症状】肉芽腫が鼻の穴にできて塞いでしまう クリプトコッカス症の症状としてはくしゃみや鼻水といった鼻炎の症状で、鼻水はドロッと…
犬の下痢
【症状】下痢よって痩せたり脱水症状を起こしたり様々です 下痢することによって体重の減少や脱水症状は起こりやすくなります。 食べ…
犬の甲状腺機能低下症
甲状腺とは全身の細胞に作用して、エネルギー、タンパク、ビタミンなどの代謝に関わる働きをしています。 甲状腺から分泌される甲状腺…
犬の前立腺腫瘍
前立腺腫瘍とは前立腺に悪性の腫瘍ができる病気のことです。 前立腺はオス犬の膀胱の下にあり、精子の運動能力を活発にする精液を分泌…
犬の肺水腫
肺の中に大量の液体がたまり、ガスの交換が妨げられている状態を肺水腫といいます。 肺は血液に酸素を送り二酸化炭素を取り出すための…
犬のトキソプラズマ症
【症状】無症状の場合が多いが妊娠していると流産の危険性も 一般的には感染しても無症状のままが多いのですが、発熱や筋肉痛と言った…
犬のライム病
【症状】感染しても95%は無症状。症状が出ればあちこちの関節が腫れてきます ライム病に感染しても症状を表すのはごく一部の犬で、…
犬の膀胱炎
膀胱とは腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の器官です。 そこで炎症が発生した状態を膀胱炎と言います。 膀胱炎は泌尿器系…
ケンネルコフ(伝染性気管支炎)
【症状】咳が多い程度だけど、他の感染症と一緒だと重症化することもあります 急に発熱や咳が出て長く続き人間の風邪とよく似た症状で…
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
【症状】大量に水を飲み、オシッコが増える。食べるのに痩せていく 症状としては水を大量に飲み、オシッコの回数も量も増える。 エサ…
犬の糸球体腎炎
糸球体腎炎とは、腎臓内部の糸球体が炎症を起こしている状態のことを指します。 糸球体とは毛細血管の塊で血液をろ過する役割をしてい…
犬の鞭虫症
犬鞭虫は広く世界的に分布しており、日本でも全国的に発症が認められています。 発生数は減少している鞭虫症ですが、多頭飼いなどでは…
犬のバベシア症
【症状】40度以上の高熱や黄疸、血尿も。肝臓や腎臓に影響が出ることもあります バベシア症に感染すると40度以上の高熱や、息が早…
犬の副鼻腔炎
鼻腔周辺の骨に囲まれた空洞部を副鼻腔といいます。 鼻炎と同じような症状を示しますが、鼻炎より治療が困難で、完治が難しい疾患です…
犬のネフローゼ症候群
【症状】初期は無症状だが進行すると全身のむくみと腹水でお腹が膨れる 初期の段階では高タンパクの尿のほかには特に症状は見受けられ…
犬のエキノコックス症(多包条虫症)
【症状】下痢くらいで、特に重い症状は出ません 犬がエキノコックス(多包条虫)と呼ばれる寄生虫に寄生されても、下痢または液状の便…
犬の乳腺炎
乳腺炎とは、乳腺組織に炎症がみられるものを指します。 多くは乳頭口から乳腺に細菌が混入して生じます。 【症状】腫れやしこり、黄…
犬のコクシジウム症
【症状】子犬で発症しひどい下痢や血が混じることもあります 成犬の場合は症状が現れることはほとんどありません。 主に子犬の場合に…
犬の認知症(痴呆/認知機能障害/認知障害症候群)
人間と同じように犬でも認知症が問題になってきています。 高齢化に伴って生じる脳の変化が原因で説明のつかない異常な行動を起こすこ…
犬の尿毒症
腎臓の昨日は、体に不必要となった老廃物や毒素を尿として排出するほか、骨の代謝・造血・体液の平衡状態の維持などがあります。 腎臓…
犬の水頭症
水頭症とは頭蓋骨が大きく骨が薄い犬種、短頭種、小型犬に多く発症する脳の病気です。 チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスフン…
犬の鼻炎
鼻炎は、鼻腔内に発生した炎症のことで、その原因は様々です。 基本的な症状は、くしゃみや鼻水で、鼻と眼をつなぐ鼻涙管をつまらせる…
犬の熱中症(熱射病、日射病)
【症状】体温の上昇、パンティングが起こる 熱中症の症状には、息が荒くなる、ぐったりする、尿・便の失禁がみられます。 体温が41…
犬のジアルジア症
【症状】悪臭のする水様便が特徴 主な症状は下痢で水のような状態のことが多い。 またその下痢はかなりの悪臭で、油が腐ったような匂…
犬の膀胱結石
膀胱結石とは、尿を一時的に溜めておく膀胱に結石と呼ばれる石が詰まることで尿が出にくくなったり激しい痛みが生じる病気です。 膀胱…
犬の肛門嚢炎
肛門嚢炎とは、肛門の左右やや下側にある肛門嚢を呼ばれる部分が細菌などに感染したり、肛門嚢開口部の閉塞によって引き起こされる炎症…
犬の前立腺肥大
前立腺肥大とは、前立腺が肥大している状態で去勢していない6歳以上のオス犬に多く見られます。 前立腺が徐々に肥大してしまうと、周…
犬の門脈シャント
【症状】肝性脳症によるよだれやふらつき 通常は、消化管内で産生されたアンモニアなどの毒素は腸管から吸収されると、門脈と呼ばれる…
犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
広義的には、薬剤誘発性溶血性貧血と同種免疫性溶血性貧血も含みますが、一般的には、自己免疫性溶血性貧血と呼ばれていた病気を指しま…
犬のコロナウイルス感染症(コロナウイルス性腸炎)
犬コロナウイルス感染症とは、犬コロナウイルスに感染することで引き起こされる感染症のことです。 消化管に感染し下痢や嘔吐などの症…
犬の子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは子宮の内部に膿が溜まる病気です。 細菌感染によって引き起こされ生死にかかわる病気です。 子どもを産んだことのない…
犬の鉤虫症
鉤虫とは体長1~2cmの糸のように細く白い虫です。 それが体内に侵入し小腸内で寄生する病気を鉤虫症といいます。 十二指腸炎とも…
犬の回虫症
【症状】子犬の下痢や嘔吐に太鼓腹のようなお腹の膨らみ 子犬の間に感染し発症することが多い病気です。 下痢や嘔吐が見られ発育が遅…
犬の腸閉塞
【症状】軽度では食欲不振、重症だと嘔吐や衰弱 腸閉塞は別名「イレウス」ともよばれ、閉塞部位と閉塞の程度(完全閉塞・不完全閉塞)…
犬のマンソン裂頭条虫症
【症状】症状が出ることは少ないけど、下痢と便のニオイが強くなります マンソン裂頭条虫症に感染してもあまり症状が出ません。 症状…
犬の尿崩症
健康な犬の場合、1日の尿量は体重1kgあたり60ml以下です、これが100ml以上になるとどこかしら異常があると考えます。 正…